22.05.24
借りていたアパートやマンションなどの賃貸物件から出ていく際には、原状回復が必要になることがあります。
このコラムでは、原状回復が何かを説明したうえで、原状回復のガイドラインについて詳しく探って解説します。
原状回復を行うには費用がかかりますが、それに関わる各部材の経過年数についても紹介しています。
後々トラブルを起こさないために、すでに賃貸物件に住んでいる方も、今後賃貸借契約を交わす予定がある方も、じっくり読んで参考にしてください。
原状回復とは、その字の通りに元々あった状態に戻すことを指しています。
アパートやマンションなどの物件を賃借する際の契約時にでてくる言葉で、退去時には物件を借りていた者が原状回復の義務を負うことが契約書に定められています。
具体的には、賃借中に入居者が汚したり傷つけたりした場所や箇所などを修復して、入居前の状態にすることです。
ただし、部屋の中にはいろいろな部材が用いられていて、それらは故意にダメージなどを与えなくても経年劣化するため、入居前の状態に完璧に戻す必要はありません。
賃貸借契約を交わす際には、原状回復の範囲が表記されているため、退去時はそれにしたがって修繕工事などを行えば良いことになっています。
一般的には通常の使用でついた汚れや傷は、原状回復の対象にはなりません。
このように、原状回復はアパートやマンションなどの部屋を借りる者が背負わなければいけない義務ですが、ろくに契約書の内容を確認しない人の方が多いのが現実です。
契約を交わしてしまえば、契約書の内容通りに原状回復費用を請求されても文句は言えないので、面倒くさがらないで他の項目も含めて契約内容にはしっかり目を通しておきましょう。
前項で紹介したように、原状回復についてきちんと理解しないまま賃貸借契約を交わす者が多いことから、賃貸物件から退去する際に、オーナーと入居者の間で原状回復にかかる費用についてトラブルになるケースが多く確認されています。
この問題を解消するために、1998年に国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定めました。
このガイドラインには、主に「原状回復の費用負担ルール」「原状回復でトラブルが多い実例の判断基準」「原状回復のトラブルを未然に防ぐ確認リスト」が記されています。
以下に、それぞれの内容を詳しく紹介します。
原状回復の費用負担ルールでは、入居者の原状回復費用の負担は、基本的には「貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」となっています。
つまり、普通の生活によって生じた汚れや傷などのダメージは、入居者に費用負担の義務がないとしているのです。
これにより、貸借人であるオーナーが、賃貸借契約時に徴収した敷金を勝手に原状回復費用に充てることができなくなりました。
以前は普通の生活をしていても、退去時に敷金が目減りして返還されるケースが多かったですが、今ではそのようなことができなくなっていて、その分トラブルが起きる割合も劇的に減少しました。
ただし、賃貸借契約書の中に特約がある場合は、それにしたがって入居者は普通の生活をしていた場合でも、原状回復費用の負担を強いられることもあります。
その場合に備える意味でも、契約書の内容を把握することは非常に大事なことなのです。
普通の生活をしていた場合、入居者が原状回復費用の負担をしなくても良いとなっていても、実際にはどちらが費用負担をすべきかの判断に迷うケースも少なくありません。
そのために、ガイドラインには「原状回復でトラブルが多い実例の判断基準」が記されています。
原状回復費の費用負担をどちらがするかは、ガイドラインを読めばほどんど理解できるようになっていますが、費用負担の割合は入居年数や物件の設備の経過年数などによって変わります。
物件が古くなるほど設備などは壊れやすいため、入居者の費用負担の割合は少なくなります。
原状回復費用の費用負担を決定するためには、入居時の内装や設備などの状態をオーナーと入居者の両者が共通し把握しておく必要があります。
それが一目瞭然で分かるのが「原状回復のトラブルを未然に防ぐ確認リスト」です。
このリストでは、天井、壁、床、ドア、流し台、風呂釜、照明、タオル掛け、便器、水栓タンクなどと各部材の情報を細かくチェックできるようになっています。
入居時と退去時に、オーナーと入居者が相互にしっかり確認し合うことにより、お互いが納得できる費用負担を決定することができるのです。
原状回復費の負担割合を決めるには、各部材の経過年数が重要になります。
この場合の経過年数とは、内装に使用されるクロスなどの部材や設備などの物の価値は、年数の経過によって減少するという考えのことです。
経過年数は、部材の種類によって変わります。
例えば、クロスやカーペットやクッションフロアなどの経過年数は6年ですが、畳表やフローリングや襖や障子紙などは、経過年数無しとなっています。
各部材の経過年数も、前述した国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に記載されています。
各部材の経過年数が把握できれば、入居者の退去時の原状回復の費用負担に関する不安も減少させることができるので、気になる方は事前に把握しておきましょう。
賃貸アパートやマンションの原状回復は、原状回復のプロフェッショナル集団として、年間500件以上、累計で1,500件以上の施工実績を持つ、「株式会社 INTERIOR MAKO」にご相談ください。